Chapter22「19日の平穏」
朝起きて僕らはアジャイゲストハウスからスターパレスゲストハウスに宿を変更した。
さっそくスターパレスから家に電話してみると、電子メールに写真を添付して送ったとのこと。
そういうことか・・・。 正直こんなにホッとしたのは久しぶりだ。
(当時は電子メールが普及し始めて間もない頃だったためそういう発想がなかった)
今日は11時にバグワンダスと待ち合わせをしていたが、旦那さんのアドバイスに従い彼とは会わないことにした。
13時に運転手と待ち合わせをしているので、それまでにブッダガヤ行きの夜行列車チケットを取らなければならない。
『地球の歩き方』によると、ニューデリー駅の2階に外国人専用の列車予約オフィスがあるらしい。
僕らはニューデリー駅へ向かった。
駅に着くと、2〜3人の客引きが僕らに声をかけてきた。
「外国人予約オフィスを探しているんだろ?案内してやる」
しかし、僕らはもうインド到着2日目の僕らではない。
向こうから声をかけてくるインド人は100%怪しむべきだということを経験上、身につけていた。
「ノーセンキュー」
僕らは彼らは無視して自分の目と足で探すことにした。
いったんプラットフォームのほうまで行ってみたが見つからなかった。
もう一度駅の入口まで戻り、「International tourist bureau」はどこか?と数人に聞いた所、近くにいたインド人が「あっちだ」というふうに指さしてくれたのでその方向に行ってみると、確かに「International tourist bureau」という看板が掲げてあった。
僕らはその看板が指し示すとおり2階に上がろうとしたのだが、ひとりのインド人が「今日は休みだ」と言って立ちふさがった。
「どうせそう言って近くの旅行代理店に連れてくつもりなんだろ」
田中君も僕もこの手の輩には本当にうんざりしている。僕らは強引に階段を上ろうとした。
しかし、向こうも譲らない。
「今日は休みだから向こうの旅行代理店に行け」
ほんとにふざけたやつだ。
僕はIDカードを見せるように要求したが、見ると確かに顔写真と政府の文字が書いてある。
「まぁ、これも偽造だろうな」
彼は頑として階段を上らせようとしない。
そのうち騒ぎをききつけたのか2〜3人のインド人がやってきて僕らを説得しようとしている。
「うるせえからこいつらは無視してとりあえず向こうでもう一度探してみようぜ」
と田中君が言った。埒があかないのだ。
僕らが駅の中央ホールの方へ向かおうとするとさっきのインド人たちががついてきて「おまえら耳がついてないのか」「おまえらクレイジーだ」などと、僕らをすごい剣幕で罵倒した。
田中君が「さっきのあの看板もたぶん嘘だぜ」と言うので、
「ニューデリー駅みたいなでかい駅にあんな堂々とにせ看板が出せるわけないだろ」
と僕は反論した。
たぶん強引に上ったらあの階段の上に本物のオフィスがあるのだ。
そうでなければあんなになんとか上らせないようにするわけがない、と僕は思っていた。
しかし、田中君の言う通り駅の中を探してみると、なんと中央ホールから少し左に歩いた所にもっと大きい看板で「International tourist bureau」と掲げた看板があるではないか。
階段を上るとはたして本物のオフィスがあり、多くの外国人旅行者が中にいたのだ。
それにしても日本でいえば新宿駅にあたるような主要駅であんなにせ看板を堂々と出していていいのだろうか?
本当にインドは理解不能だ。
結局13時までにチケットが取れず、とりあえず待ち合わせ場所に向かうことにした。
昨日の運転手だけでなく旦那さんも来てくれていたのですぐにわかった。
旦那さんに昼めしをおごってもらい、午後はデリー観光。旦那さんは昼めしを食べたら仕事場に戻った。
結局、今日一日何も言われなかった。
もしかしたら洋子さんや旦那さんや弁護士のお兄さんは、ものすごく親切な人たちなんじゃないだろうか?
そう一瞬思ったが、これではにせ政府観光局やDelightの二の舞になると思い、僕は人を信用したい気持ちが湧き上がってくるのをなんとか抑えようとした。
とりあえずこのままこの流れにはのるが、洋子さんたちも完全に信用することだけはやめよう。
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